クリエイティブに出会う夜

AMORPHOUS 記事

今回参加したのは、わたしも所属しているAMORPHOUSが主催するVRChatイベント「デザイン交流集会」です。

デザインやイラストに興味のある人たちが集まって制作の相談をしたり、クリエイター同士で繋がったりすることができて

これからデザインやイラストを始めたい人、VRChatで自分のスキルを活かしてみたい人など、幅広く参加できるイベントらしい。

ジャンルは違うけど、わたしのように「何かをしたい!」という気持ちに溢れた人たちと出会えるのかもしれない、行かねば…!

EVENT DATA

イベント
デザイン交流集会
主催
AMORPHOUS
開催
VRChat/22時〜
運営
シャイメイ理さん・さばちゃそさん

はじめてのいべんと

とはいえ、ちゃんとこういう集会に参加するのは初めて。

これまではイベントの開始時間から参加できたことがなく着いた頃にはあらかたの流れが終わり、すでにいくつかのグループが出来上がっていることが多かった。

その輪を遠巻きに眺めながら、「どのタイミングなら入れそうかな…」と聞き耳を立ててはウロウロ。

結局、悔しいような恥ずかしいような気持ちをするばかりで集会イベントには少し苦手意識があった。

だけど今回のわたしは違う。
早く仕事から帰宅し、風呂飯を済ませ、準備は万端だ。
JOIN前にはホームで、アバターに変なところがないかしっかりチェック。
さながらデート前のような入念な心構えだった。

張り切りすぎていることを悟られぬように22時からのところを、5分ほど様子を見ながらJOINした。
すると会場はすでにザワザワ、早くも20人を超える人たちが集まり挨拶を交わしながら時間を過ごしていた。

「○○さ~ん、こんばんは」

そんな声があちこちから聞こえてくるけれどフレンドの少ないわたしには、その言葉を向ける相手がまだいない。

「開始前ってどう過ごすのがいいんだろう」

そんな作法などは存在しないことくらい分かっているのに緊張すると変にかしこまってしまう。

「きっと始まる前のポジションが大事になるはず」

そう思って、適度に人と距離を取りつつもできるだけ会場の中心周辺にいるようにした。

そんな達人の間合いのような頭脳戦を繰り広げているうちに気づけば集会運営のシャイメイ理さんとさばちゃそさんの挨拶が始まっていた。
大変申し訳ないのだが、この後ちゃんと誰かと話せるのかという心配で頭がいっぱいだったわたしは、おふたりが何を話していたのか正直あまり覚えていない……。

1.おともだちできるかな

挨拶が終わりいよいよ交流タイムが来た。
辺りを見回そうとした瞬間、隣にいた人と目が合った。

「はじめまして~」

よし!!挨拶ができた!!!

位置取りがよかったのか、体育のペア作りのような展開を無事クリアした。

木造の室内で3人のアバターが並んで写る写真。中央がmotonoさん
最初にお話ししたmotonoさん(中央)と。

ひと通り自己紹介をすると、この方はmotonoさん(画像中央)という方で本職はデザイナーをされているらしい。
「デザイン集会」という名前に興味を惹かれて参加したとのこと。

話を聞いていくと、VRChatの中でもデザイナーとしてのスキルを活かして何かできることがないかと考えているそうだ。

「何かをしたい。でも、何をしたらいいかはまだわからない」

その感じが、自分にも少しわかる気がした。
わたしもVRChatで何かをしたいと思って動いてきたからか初対面なのにどこか他人のような気がしなかった。

motonoさんのおかげですっかり緊張がほぐれた。
わたしたちは別のグループと合流し、気づけば何人かのグループになっていた。
いかにも「集会に参加している!」という感覚で浮かれていたと思う。
最初にお話しした人がmotonoさんで本当に助かった。

そのグループでの会話も楽しかったが、せっかくなら色々な方と話してみたい。
そう思ったわたしは、名残惜しいが新しいグループを目指して巣立つことにした。

2.つぎはだれとはなそう

わたしは普段、ワールドについての記事を書いている。
せっかくならワールド制作をする方のお話を聞いてみたい。
そう思い、参加者のタグマーカーを頼りに辺りをキョロキョロしてみたがわたしが探した限りでは見つけることができなかった。

少し残念ではあったけれど、気を取り直して方向転換。
ワールド制作者に限らず、またどこかのグループに混ざって話をしてみることにした。

青いまんまるフォルムのアバターと、水色のドレスを着た単眼アバター
daitetuさん(左)とDr.こいしーさん(右)。

ここで次に声をかけたのはまんまるフォルムをしたdaitetuさん(写真左)と単眼アバターのDr.こいしーさん(写真右)。

VRChatでも比較的珍しい人外アバターのおふたりは人外アバターあるあるの話や、自身の作品について話していた。

daitetuさんはキャラクターデザインやイラストを手がけていてこの愛らしいアバターも自身で制作したもの。
いつかこの姿を着ぐるみにして、実際に被ることが夢だと話していた。

一方のDr.こいしーさんは、3Dプリンターを使ってお面を作り自ら被って活動することもあるという。
こちらも、現実世界でアバターを身につけるような感覚に近いのかもしれない。

おふたりには、バーチャルで生まれたものを現実へ持ち出していくという共通点があった。
VRChatの中で完結するのではなく、その姿や作品を現実にも連れていこうとする発想が面白く、つい話を聞き込んでしまった。

いろんな制作の話を聞いているうちに、そういえばと思い出して、こんなことをこぼした。

「実は、ワールド制作をしている人とも話してみたかったんですよね」

参加者の中を探してはみたものの、わたしが見つけることはできなかった。
そんなことを何気なく話すと――。

3.じぶんだけのばしょ

おふたりとも「ワールド制作はしていない」とのことだった。
……が、続けてこんな言葉が返ってきた。

「自分用のワールドなら作ってますけど……」

自分用のワールド……?

その言葉に少し引っかかった。
わたしの中でワールドといえば、広大だったり写真映えする景色があったり、細かなところまで作り込まれていたり。
どこか、不特定多数の人に見てもらうための「作品」というイメージが強かった。

でも、どうやらわたしが想像していたような「人に見てもらうための作品」とは、少し目的が違うらしい。
もう少し詳しく話を聞いてみると、

「フレンドさんたちと集まれる、集会所みたいな場所が欲しいと思って」

とdaitetuさんは話してくれた。
いわゆる集会スペースのようなワールドは探せばいっぱいあるけれど自分たちが使うために、自分の好みや世界観を落とし込んだ場所をあえて自分で作る。
なるほど、そういうワールドの作り方もあるのか。
そんな発想、わたしにはなかった。

続いてDr.こいしーさんは

「自分はV睡眠をするので寝室を作りました」

と話してくれた。

寝室??私室じゃなくて???

V睡眠という文化自体は聞いたことがある。
VRChatで過ごしながら、そのまま眠りにつく行為のことだ。
ただ、わたしはまだV睡眠ですら体験したことがない。
そこへ「寝るための部屋を、自分で作る」という話まで飛び込んできた。

新感覚が過ぎる。

最初こそ「寝室!?」と驚いたけれど考えてみれば現実でも自分が過ごしやすいように部屋を整える。
好きな家具を置いたり、照明を選んだり、落ち着ける空間を作ったりする。
それをVRChatの中でもやっているだけなのかもしれない。

話を聞いているうちに、だんだん気になってきた。
自分用のワールドを作るという感覚は、このふたりだけのものなんだろうか。
そう思い、もう少しだけ誰かに聞いてみたくなった。
ただ、自分が滞在できる時間も迫っていた。
せっかくならもう一人だけ聞いてみようと、最後にお話を伺ったのがNikeさんだった。

イラストが飾られた明るい室内に立つ、眼鏡をかけたアバター
最後にお話を伺ったNikeさん。

Nikeさんは普段、デザインのお仕事をしている方だった。

自分用のワールドはまだ作っていないという。
けれど、チルワールドなどで家具を見ていると、

「もっとこういう形だったら」

「この色なら、もっと好きかも」

と思うことがあるらしい。
だからいつか、自分の好みを細かいところまで詰め込んだ自分がちゃんと納得できる部屋を作ってみたいと話してくれた。

なるほど。
今あるものも素敵だけど、「もっと自分好みにしたい」という気持ちから作りたくなることもあるんだ。

4.せかいがひろがった

三人の話を聞いて、自分のワールド制作観が変わった気がした。

仲間と集まるための場所を作る人。

眠るための寝室を作る人。

もっと自分好みの空間を作ってみたい人。

理由はそれぞれ違うけれど、どれも誰かに見てもらうための「作品」というより自分がそこでどう過ごしたいかを考えて作られている。

比較として出すには少し恥ずかしい気もするけれど、自分の感覚に近いものを探すとどうぶつの森で部屋を作る感覚なのかなと思った。

好きな家具を置いて、自分好みの空間を作る。
でもVRChatでは、その場所に自分自身が立って、誰かと話したり眠ったりできる。
だからこそ、「部屋を作る」より「自分が過ごす場所を作る」という感覚に近いのかもしれない。

自分はまだどこかで、VRChatを「あくまでゲーム」として見ていたのかもしれない。
でもここでは、フレンドと集まったり、眠ったり自分の好きな空間で長い時間を過ごすことができる。

VRChatの中にも、わたしが思っていた以上にちゃんと「生活」があるんだ。

これからチルワールドに訪れたときは、そこに何があるかだけじゃなく、「この人はここで、どう過ごしたかったんだろう」なんてことも少し考えてしまいそうだ。

今回のデザイン交流集会での出会いは、わたしにそんな新しい価値観に触れられたそんな素敵な交流会だった。

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筆者 ひなぎなぎ
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