運命づけられていない、わたしたちへ。
運命ってどうあるものだと思う?
決まっているもの?立ち向かうもの?切り開くもの?
わたしは「決まっているもの」だと思っている。
どれだけ悩んで選んだ道も、たまたま出会った誰かも、あとになって振り返れば「そうなる運命だった」なんて思ったりする。
もちろん本当にそんなものがあるのかは分からない。
でも運命って言葉には抗えない…とか導かれる…とか自分の意志ではどうにもならないみたいな感覚がある。
運命づけられていないという言葉が妙に引っかかった。
ワールドに入ると、そこはなんとも殺風景な部屋だった。
ソファやベッド、冷蔵庫なんかが雑然と置かれているけど、生活している部屋というより倉庫みたい。
出入口?みたいな部分もふさがれているし、そして何より色がない。
そんな部屋で、嫌でも目に入ったのが青いバラだった。
ここだけ、やけに色が目立った。
部屋の中心に浮かぶ一輪のバラに触れてみると、ふっと燃えるように消えた。
すると、どこからか歌声が聞こえてきた。
声の出どころを探していると目の前にyosumiさんが現れた。
寂しげでどこか儚い、でもちゃんと芯のある歌声がわたしの鼓膜に突き刺さった。
聞き入っていると曲のテンポが上がっていき、音が跳ねたと同時に部屋が一気にリング状に広がった。
びっくりはしたんだけど、それ以上に「こんな見せ方するんだ」って感心してしまった。
そこから部屋は次々と形を変えていき、気づけば一本のトンネルのような通路にいた。
このときにはもうすっかりこの世界に引き込まれて見入ってしまった。
yosumiさんは、ときどき後ろを振り向きながら歌っている。
「こっちだよ」って奥へいざなわれているみたいでどきどきする…!
その先にあったのは鏡。
洒落たアパレルショップで店内を広く見せるやつみたいだな~なんて
思いながら鏡に映るyosumiさんとわたし。
鏡に触れると鏡面はすーーっと奥へ消えていった。
そのままついていくと今度は円形のエレベーターに変わった。
下へ、下へ…
たどり着いた先で待っていたのは、最初の部屋とは全く違う光景だった。
二階まである吹き抜けの空間には青いバラが咲いていて、青い光の粒子がわたしたちの周りを回ったり、流れるように駆け抜けたり。
一気に幻想的な世界が広がった。
最後の盛り上がりを光も一緒になって作ってくれているみたい。
そして曲の終わり、無数の光が目の前いっぱいに広がった。
まるで光のカーテン。
そのままこの音楽に、幕を下ろした。
あの青いバラは…?
この『Undestined』というワールドはyosumiさんの楽曲を元に作られている。
あの青いバラにも、アパレルショップみたいな鏡にも意味があったんじゃないか…?
そう思ったらあれもこれも気になってきた!!
ワールドと歌詞を並べて自分なりに読み解いて咀嚼してみる。
まずは、あの色のない部屋。
わたしにはあの部屋が、主人公から見た世界そのもののように見えた。
世界への虚無感や閉塞感があの色もない窮屈な部屋として表れているように見えた。
その中で唯一色があった青いバラ。
あれが「運命」としたら?
そんな世界で何かに祈り、運命というものに自分自身を任せていた。
そんな主人公は「運命の糸」を燃やした。
それがあの青いバラが燃える演出と重なって見えた。
誰かに決めてもらうことをやめてここからは自分で歩んでいく。
そういう決意みたいなものの表現だったのかなぁ…
他にも、『罅割れてしまっても鏡の中で願った夢を未だ忘れないでいて』って
歌詞が咀嚼しがいがあって…
『罅割れてしまっても』っていうのは恐らく「夢」のことで、一度は諦めてしまった夢。
ここで思い出したのが、途中にあったあの鏡だった。
鏡に映るのは自分自身。
だとしたら鏡の中で願っていた夢って、運命は誰かに決められたものではなくてずっと自分の中にあった願いなのかも。
そしてワールドの鏡に映っていたのは、yosumiさんだけじゃない。
わたしもいた。
さっきは「アパレルショップみたいだな~」なんて呑気に見ていたけど、こうして考えると急に意味深に見えてきた。
『手を放さないで』という歌詞も一度諦めてしまった夢か、それを願っていた自分自身のことかもしれない。
そして曲の後半、燃やしたはずの「運命の糸」がもう一度出てくる。
運命を自分で選び、紡いだんだ。
そして最後に待っていたのは、青いバラがいくつも咲いて光が舞う世界だった。
自分で運命を選んだ世界には色があった。
最初と最後でここまで景色が違うのは、主人公自身の世界の見え方が変わったからなのかもしれない。
最後の歌詞『まだ声が響いている この道の先で』というのは、まだ運命に囚われている「誰か」に向けられているのかもしれない。
もちろん鏡に映ったわたしもその「誰か」のひとりなのかもしれない。
ここまで考えてハッとした。
わたしはyosumiさんが運命を燃やす姿を外から見ていたわけじゃない。
最初の青いバラを燃やしたのはわたしだ。
鏡に映ったのはわたしだ。
最後の空間にたどり着いたのもわたしだ。
いつの間にかこの物語を見るだけではなく、わたし自身も『Undestined』の中を歩いていた。
「運命づけられていない」というのは、行き先がないということではなく
まだ決められていないから、自分で決められる。
『Undestined』はそんな物語を見せるだけじゃなく、わたしの足で歩かせてくれるワールドだった。
そして歩き終えた今も、この道の先から声が聞こえているような気がする。
WORLD DATA
Undestined – yosumi
制作:MIGIRI Inc / 楽曲:yosumi
ひとつだけお願いというか、注意点を。
ワールド音量は80%以上にしてから入ってください(公式でも推奨されています)。

